2024年05月22日
2024年度 第1回 情報数理科学研究所 所内研究紹介
- 話者:川島 誠
- 題目:数の有理近似と周期予想
- 概要:講演者は、数学の中で「整数論」と呼ばれる分野を専攻しています。整数論は歴史が古く、古代ギリシャの時代に端を発する問題が現代でも未解決のまま残っていたり、最新の研究の源泉になって深化しています。例えば、古代ギリシャの三大問題として知られる円積問題は1882年にC. L. Lindemannによる円周率πの超越性により解決され、現代の「超越数論」の分野が発展する起源のひとつとなっています。 まずは、整数論の歴史とそのいくつかの研究領域について紹介させていただきます。講演者は、超越数論と呼ばれる数の性質を調べる分野を中心に研究しています。この分野は、数の有理近似と密接に関連して発展を続けています。次に、講演者の研究目標について概観し、その中でも特に1966年にA. Grothendieckにより提唱された「周期予想」について解説します。この周期予想は数学の様々な分野と関連する現在の重要な未解決問題のひとつです。最後に、講演者がこれまでに得た結果と今後の課題についても紹介いたします。